プロローグ
アンドレ・ロバーソンに初めて会ったのは2014年。
コート外ではファン一人ひとりに丁寧な対応をして、コート上では誰もやらない細かいプレーを泥臭くこなす。
すぐにその誠実なファン対応とプレーの虜になっていた。
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そんなロバーソンは2018年に大ケガをして2年も試合から遠ざかり、ようやく復帰したと思ったらコロナで無観客。その後はNBAでもなかなか出番が回ってこず。
もうこの目でロバーソンを見られる日は来ないのかなと思っていた。
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DAY0
行きたい、いや行かなあかん
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「アンドレ・ロバーソンがフランスでプレーする」
そのニュースを見た瞬間、体が勝手にGoogle Mapを開いてフランスイマジナリー旅行開始。アリーナの行き方を調べ、ユーロリーグの日程までチェックしていた。
そして、気付けば2025年4月にフランス行きの航空券、ユーロリーグ&フランス国内リーグのチケットを購入。
(いや、本当はチケット購入でフランスの洗礼をめちゃくちゃに浴びせられたから↓の備忘録に詳細書く)
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行くと決まってからは、久々にロバーソンのプレーを見られるとなってか分かりやすく浮かれてた。
今までやったこともなかった応援ボードを作ってみちゃったり、あまり使わないInstagramでその応援ボードをストーリーにUPしてみちゃったり、それを今までやったこともないメンション付きにしてみちゃったり。

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一人旅の極東のおじさんがこんなテンションアゲアゲで入国してきたらフランス人もビビるやろうな
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なんて思いながら空港の待合スペースで待っていたら、届くInstgramのダイレクトメッセージ。
ロバーソンからの “No way”

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「”No way”はワシのセリフや」というツッコミと興奮を抑えながら、
「明日の試合観に行くよ」と返信したら
英語の先生が見たら発狂しそうな英文法で「シューズあげるよ」というメッセージが。

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行く前は不安半分・楽しみ半分、でも帰ってきたら「楽しかった」「行ってよかった」になる。それが海外旅行だと思ってたけど、この旅は離陸する前からすでに勝利が約束されてしまった。
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こうして極東のおじさんは気分上々↑↑の針落とせ音鳴らせパーリナイでフランスに入国するのだった。
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DAY1 リヨン
1試合目はユーロリーグを観戦。
ロバーソンが所属しているASVELの本拠地はフランス美食の街リヨン。
この日はホームで、ユーロリーグの強豪 ASモナコを迎え撃つ一戦だった。
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アリーナに到着してまず感じたのが、セキュリティの緩さ。
誰でもフロアまで簡単に降りられるし、選手のアップを目の前で見られる。ロッカーに戻る選手と2ショットも撮り放題、サインももらい放題。なのに、95%の観客はそんなことに興味すらなさそう。
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これだけ選手と距離が近いリーグは中々ないだろうな、なんて思いながら見ていたら出てきたロバーソン。

ロバーソンのシューティングを見て、10年前のチェサピークエナジーアリーナで当時サンダーのACだったダーコ・ラヤコビッチ(現ラプターズHC)と一緒に練習していた姿を思い出したり。
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一通りシューティングが終わると、自分のところまで来てくれたロバーソン。
「会えて嬉しいよ」なんて言いながら写真をパシャリ、ここでチームのカメラマンが写真・動画を撮ってくれていた。
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写真を撮り終わると「試合後にシューズを渡すね」と言ってロッカーに戻るロバーソン。
「連絡先教えて、さっきの写真と動画送るよ」 と言ってくれたカメラマン。(連絡先=Instgram、インスタはこの旅のMVP)
フランス語で何言ってるか分からなかったけど、満面の笑みで話かけてくれて携帯で写真を撮ってくれたセキュリティのおっちゃん。(前述の通り、セキュリティゆるゆるガバガバ)
優しい世界。
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試合は終盤まで接戦の展開も最後は5点差でモナコに敗れる展開。
正直久々に見るロバーソンのプレーには期待しちゃいけないのかなと思っていたけど、そんなことなかった。
ディフェンスは圧巻で、「そうそう、ロバーソンってディフェンスだけじゃなくてリバウンドもすごかったんだよな」という記憶も完全に蘇ってきた。
14得点-12リバウンド-3ブロック-2スティールの活躍 (正直もっとブロックしていたように見えた、それくらいすごかった) 、なんとあのフリースローも決めていた。
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そして試合が終わると、ハグをしにきてくれたハガー。(古のサンダーネタ)
約束通りシューズを渡してもらい
ジャージにサインを書いてもらい
また写真を撮ってもらい
「またね」と言ってお別れ
会場をあとにしようと歩き始めたら、「さっきの見てたわよ!動画撮ってたから送ってあげるわ、連絡先教えて!!」と声を掛けらてもらい送ってもらった動画の切り取り。優しい世界オブザイヤー。
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離陸前から約束されていた勝利ではあったけど、あまりにも連勝街道を突き進み過ぎて気が付いたら優勝していた。
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DAY2 ブローニュシュルメール
2試合目はフランス国内リーグの観戦、対戦相手はESSM。
(読むときは頭の中で「♪E・S・S・E エッセ」のリズムで読んでる)
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ユーロリーグが欧州のトップチームで構成されるハイレベルリーグなのに対して、こちらはフランス国内チームだけのリーグ。
Bリーグでいうところのリーグ戦と天皇杯やEASLみたいな感じで、シーズン中に複数の大会が同時進行している。
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訪れた観戦場所はフランス北部の港町ブローニュシュルメール。
ネットで調べても日本語の情報はほぼなしで、あの『地球の歩き方 フランス』にも載っていない町。
「ほな歩かれへんやないかい」とは思えど、試合があるなら観に行く以外の選択肢はない。
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リヨンからパリ経由で長距離列車を使って移動。
駅に降り立つとまず出迎えてくれたのはカモメ。

街の至るところにいて人よりカモメの方が多い……というか人がいない。
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なんやかんや徒歩10分ほどでホテルに到着しチェックインしようとすると英語は一切通じず。
-ブローニュシュルメールの洗礼その1
文明の利器 (Google翻訳) で何とか乗り切ったものの次の問題。
事前に調べていたバスは運休&タクシーも捕まらず。その日は日曜日で、どうやら働く気がないらしい。たしかに道中の飲食店も空いてなかった。
-ブローニュシュルメールの洗礼その2
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ホテルからアリーナまでは3㎞、歩けない距離ではなかったので歩いて向かうことに。 (←「歩かれへんやないかい」の伏線を無事に回収)

道中は「そこにアリーナはあるんか?」と不安になるような住宅街と獣道。
-ブローニュシュルメールの洗礼その3
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住宅街を抜けるとしっかりそこにアリーナはあって会場入り。
まず目に入ってきたのは、観客のおじいちゃん&おばあちゃん率。みんな「久しぶり」「元気?」みたいな感じで和気あいあいとしていてデイサービスみたいだな、と。
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前述の通りレストランも空いていなかったので、アリーナ飯で夜を済ませようと買いに行ったら「会場内は専用コインでやり取りするんやで」と案内され、アリーナのエントランスで施設内通貨を購入。

これはデイサービスそのもの...?
(フランスでクレジットカードが使えなかった唯一の場所)
-ブローニュシュルメールの洗礼その4
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次に驚いたのは、大迫力の応援団。
ゴール裏の席は若者~中年が集まり、ラッパや太鼓といった楽器のオンパレードでアリーナBGMは一切なし。いや、あったかもしれないけど聞こえなかった。
色んなカテゴリーの試合を現地で見てきたけど、こんなおじいちゃん&おばあちゃん率と音楽隊は初めて。町全体でチームを応援してる感が半端じゃなかった。
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そんな事情も知らず単身で前から3列目の席に座っていた部外者は
「対戦相手がシュートを決めたときに喜んだら、◌されるのでは」とビビり散らかしアレクシー・ポクシェフスキーなみの謙虚なガッツポーズでひっそりロバーソンを応援することに。
-ブローニュシュルメールの洗礼その5
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試合はASVELが勝利し、ロバーソンは2試合連続ダブルダブルの活躍。
この日も写真を撮ってくれてサインもしてくれた優男。(2試合連続の優勝で連覇達成)
リヨンが優しい世界すぎたのもあるけどホームアリーナと比べると周りからのウェルカム感はなし、カメラマンの帯同もなくファンサービスだけの観点で行くとホーム試合ほどの濃さはなかった。
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ただ、このアリーナ&ファンが作る雰囲気は日本でもアメリカでも味わえないスペシャルなものだったな、とアリーナからホテルまでの帰り道を歩きながらしみじみ思っていた。
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道は真っ暗すぎてどちゃくそ怖かった。
-ブローニュシュルメールの洗礼そ6
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エピローグ
こうしてフランスでの2試合が終了。
2度と会えないと思っていたロバーソンとまさかのユーロで再会。
しかも、そこにいたのはあの頃と変わらないロバーソン。
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旅が終わるころ、ロバーソンから届いた「また会おう」というメッセージ。(スリーピートで王朝到来)

どうせ自分はロバーソンがどこに行こうがまた会いに行くだろうし
アンドレ・ロバーソンという漢は、どこにいても、何年経っても、結局のところ、人を幸せにすることしかできないんだろうな。
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番外編 備忘録
観戦チケットはフランス人に成りすまして購入
チケットは
・各チームのホームページから購入
・試合の1か月ほど前から販売開始
冒頭の通り、ここが一番の鬼門だった。
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なにせ携帯電話番号記入欄に自分の番号をどう入力してもエラーになって登録できない。
国際番号「+81」や「81」を付けても
ハイフンありにしてもなしにしても
ハイフンの代わりに半角スペースにしても
すべてエラー
チーム公式HPに問い合わせても(Google翻訳でフランス語にして送っても)無反応
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ユーロリーグはseetickets.comというチケットサイトから購入できたが、フランス国内リーグのチケットはチームのホームページから買う以外の選択肢が見つからなかった。
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これ買うのモームリ?
と思って適当にフランス携帯番号の0 (国際番号「⁺33」「33」も不要) から始まる10桁番号を入力し出身国をフランスにしたらあっさり登録できた。
-ブローニュシュルメールの洗礼 その0
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今思うと「こんなとこ部外者がくるんじゃねえぞ」というブローニュシュルメールからのメッセージだったのかもしれない。
ちなみにSMSの認証等なにもなかったから、適当な番号でもとにかく登録できたらOK。

リヨンではASVELベンチの向かい最前列でチケットは45ユーロ (≒7,500円)
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ESSM戦は前から3列目で確か30ユーロ (≒5,000円)くらい。写真は試合後にサインをするナンド・デ・コロ、セキュリティはおらずフロアまで誰でも入れる。これはNBAやBリーグでもあり得ない光景のはず。
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事前に自転車アプリ登録 (リヨン)
リヨン市内には至るところにレンタルサイクルのポートが設置されていて、アプリ登録したら自転車に24時間いつでも乗れて快適&格安で移動できる。
ただし、クレジットカードの登録をしようとすると電話番号のSMS認証が必要になるが、自分はSIMを入れ替えてたせいでSMSが受信できず詰んだ。
ちょうど試合の日に地下鉄が電光掲示板の故障で止まって登録に手こずる時間もなかったから、自転車は諦めてホテルからアリーナまでの片道4.2kmを競歩するはめに。
(舗装された道で人通りもあったし、帰りには地下鉄も復旧してたからブローニュシュルメールでの洗礼ほどではなかったけど)
観光でも活用できるし、事前に登録しておくべきだった。
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