サンダーを支えるM字な男 ビリー・ドノヴァンのすべて

サンダーを5年間指揮してくれたビリー・ドノヴァンのすべて。

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選手の個性を活かす

チームにいる選手は変わっていく、学生であれば選手は卒業していくしNBAであればトレードやFAがある。オフェンスの観点で言うと、一人一人の強みや才能を見つけて把握しないといけない。

個々の能力を最大限引き出すことがコーチの仕事だ。

 ビリー・ドノヴァン

ドノヴァンは選手の個性を重んじる。

例えば、現代バスケットでは3Pは得点効率が高いシュートと言われているが、それに固執することはない。クリス・ポールが3Pを武器とするロケッツからサンダーに移籍したことでミドルシュートの数が増加したのはいい例。(2.5本/G → 4.2本/G)

そして、ラッセル・ウェストブルックのオールラウンドな能力を最大限に引き出したのもドノヴァン。

ラッセル・ウェストブルックをコーチすることはとてもおもしろかった、彼はゴールに向かうという点において凄まじい選手だ。多くの場合、対戦相手はトランジションだろうがハーフコートだろうが彼との間合いを空けて少しでもゴールに向かわせないようにしていた。

ただ実は彼が本当に得意としているのはプルアップジャンプショットだ。今は「3Pは期待値が高いシュート」だと言う人がいるかもしれない。しかし、興味深いことに彼に関しては(それが当てはまらない)、ディフェンダーにアタックしたときは相手が下がるのを見逃さず、自分の得意なスポットでシュートをうつことができる。

もしくは、ディフェンダーが寄ってきたのを感じたら爆発的なスピードでゴールに向かっていく。

 ビリー・ドノヴァン

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デニス・シュルーダー曰く、ドノヴァンのように選手の言葉に耳を傾けるコーチは他にいないとのこと。

アトランタではブーデンホルツァーHCのもとでプレーしていた。彼には自分のやりたいバスケットボールがあってそれを強調していた。サンアントニオのようなシステムだ。

ビリーは選手の意見を本当によく聞いてくれる、それが悪い方向に行くこともあるけど。自分とビリーとはいい関係を築けている。

 デニス・シュルーダー

Thunder Exit Interviews: Dennis Schroder

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苦しむ選手を見て喜ぶ?

(11月NOP戦、シェイ・ギルジャス・アレキザンダーが10得点、FG4-13、4TOと不調だったことについて)彼が苦しんでいて嬉しい。

 ビリー・ドノヴァン

サイコパス?

もちろんそうではない。

ドノヴァン曰く、自信には

  1. “Internal Confidence”「内なる自信」
  2. “External Confidence”「うわべの自信」

2つがあり、“Internal Confidence”は困難を乗り越えることで手にすることができるとのこと。

困難にぶち当たることのない選手に成長はおとずれない。だから苦しんでいる選手がいたら、「君にとっていいことだ、成長するチャンスだ」と言うそう。そして、それを乗り越えるサポートをするのがコーチの仕事だと。

今年のプレーオフGAME5で3P 0-9と苦しんだルー・ドート、「それでもみんなが信頼してくれていた」とGAME7では3P 6-12で30得点。

苦しんでいたドートを見てドノヴァンは大喜び?していたはず。打つのをやめるよう指示しなかったor作戦を変えなかったことでドートは“Internal Confidence”を手にしたかもしれない。

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Simple is The Best

ドノヴァンはルールを作りすぎない。

(2016プレーオフでシーズン中と比べディフェンスがよくなったことについて)シーズン中は細かいルールが多すぎた。選手たちはルールを考えながらプレーしないといけなくて、混乱をまねくこともあった。そのせいでアグレッシブさが失われていたようにも感じたし、受け身になっていた。もう少し明快にする必要があった。

 ビリー・ドノヴァン

システムでがちがちに固めるよりも選手がアグレッシブにプレーできる環境をつくる方を優先したドノヴァン、73勝ウォーリアーズをあと一歩のところまで追い込んだ。

これは先の選手の個性を活かすという点にも繋がっている。

ドノヴァンはセットプレーもシンプルなものが多い、ここでも選択肢を多くしすぎないでアグレッシブなプレーができるよう仕向けているのかもしれない。

そんなドノヴァンと思いっきりのよいプレーをするシュルーダーは相性がいい、ドノヴァンのもとで成長した選手の一人。

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若い選手に求めること

NBAでは若い選手、特にルーキーには“同じポジションでマッチアップする可能性がある全ての選手を観察しなさい”と言う。なぜなら試合に出たらシュートを打つ機会よりもそうした選手を守る機会の方が多いからだ。“シュートがよく入ったからいいプレーができた”と言うが、多くの選手がディフェンスで穴になるとプレータイムをもらえない。若手は自分のポジションの選手を守れるようにならないといけない。

 ビリー・ドノヴァン

空いた時間に何をするか?練習が終わり練習場から出たら、家に帰ってフィルムを見たり、バスケットボールの勉強をするとしたらそれは才能だ。全ての選手が体育館に行きシューティングをするし、ハンドリングもする。

しかし、ピック&ロールでトラップをしかけたり、ドロップで守ったり、別のゲームでは相手のハンドラーを右に行かせたり、また別のゲームではサイドラインにボールをプッシュするよう突然指示がでたら対応できるか?こうしたアジャストは常に起こりえる、だから選手は瞬時に指示を聞いて何をすべきか理解しなければいけない。

 ビリー・ドノヴァン

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聖人

サンダーの番記者ロイス・ヤングの投稿、ロイスは2017年に生後まもない娘エヴァを亡くしている。

ビリー・ドノヴァンがどれだけすばらしい人物かをまとめることはできるけど、手短にひとつ話を共有させてほしい。

エヴァが末期症状だと診断されたとき、彼女の葬式費用のために慈善食事会を開いた。なんとそこにビリーが来てくれた。ビリーは何年か前に自分たちと同じような経験(娘のジャケリンを死産)をしていた。彼はその年ずっと協力的で自分のことを思いやってくれた。近くまできて思いを共有してくれたり、悲しみを対処する方法や妻を励ます方法などについてアドバイスをくれた。

ビリーの素晴らしい5年間に乾杯!

 ロイス・ヤング

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ありがとう、ビリー・ドノヴァン

ドノヴァンは「選手まかせ」「戦術がない」などと批判されることもあった。たしかにその通りだけど、それはドノヴァンが選手を育成し最大限選手を活かそうと取り組んできた結果でもあった。

優勝という結果は出なかったけど、その過程でラス、ポール・ジョージ、アダムス、ロバーソン、シェイ、他にもたくさんの選手がドノヴァンのもと育った。

負けても常に前向きで、選手のことをかばってくれるドノヴァンに救われた選手は(あと自分含めたファンも)たくさんいたはず。人としても監督としても大好きだった。

ありがとう、ドノヴァン!

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