サンダーを支えるメンタリストDaiG マーク・ダグノート

サンダーの新監督マーク・ダグノートの教えについて。

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結果より過程

我々が最も大事にしていることは“準備”でその次が“反省”だ。選手一人ひとり、そしてチームがそのフィードバックをきっちりとこなし、学び成長していく。だから、そのプロセスにおいて現時点で“結果”は二の次だ。

 マーク・ダグノート

オフシーズンに大胆に舵を切り、ロスターもコーチも一新したサンダー。現時点で大事にしているのは結果よりも過程。

例えば、22点差を逆転し2点差で勝利したCHI戦の後のコメントは結果ではなく取り組む姿勢を褒めるものだった。

闘い続けても勝てるという確証はないけど、闘い続けたら勝つチャンスはあるんだ。今日の試合への取り組み誇りに思うよ、我々にとって大きな一歩だ。もし最後の(ザック・ラビーンが打った)シュートが入って負けていても同じように感じていたはずだ。

 マーク・ダグノート

そして、そのアプローチは5年HCを務めたオクラホマシティ・ブルー(Gリーグ)時代から変わらない。

マークが大事にしていたのはサンダーがやりたいシステムを教えることだった。そのせいで勝てないときもあったけど、大前提として組織にとって必要な選手を育てることが優先されていた。コーチマークは勝利よりも選手たちに正しい姿勢と能力を身に着けてもらおうと始めから取り組んでいたんだ

 ジョシュ・ヒュースティス

ヒュースティスはダグノートのもとで101試合プレーしている

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“What else Mentality”

「シュートが入らないとき、プレーがうまくいかないときに他に何ができるか?」

ダグノートはそれを選手一人ひとりに自問するように教えている。

シュートが中々決まらないルーキーのアレクシー・ポクシェフスキーがリバウンドやパス回しを一生懸命こなすのも“What else Mentality”だし

ジョージ・ヒルが不調でもチームに激を飛ばしてくれたのも“What else Mentality”だし

シーズンの始めはあまりプレーできなかったけど、真のプロであろうといつも準備し続けたし、チャンスを活かすことができた。

 ジャスティン・ジャクソン

ジャスティン・ジャクソンが試合に出られなくても準備し続けたのも“What else Mentality”

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0-0

“0-0 mentality”は毎試合0勝0敗から始まるという意識、毎ポゼッション0対0であるという意識のこと。

つまり過去に引きずられずに次の1試合、次のワンポゼッションに集中するという教え。

去年は自分がいつも前のプレーのことを考えていることに気がついた、新シーズンが始まるにつれてコーチマークが教えてくれたことの一つなんだ。ゲームがどんな状況であれ次のプレーのことを考えて、ポジティブに(マイナス)感情を表に出さないようにするんだ。

 シェイ・ギルジャス・アレキザンダー

via Twitter @okcthunder

試合に出て、勝負して、全部を出し切ることは気分がいいね。どの試合の前でもコーチは“0-0 mentality”を強く言うんだ、ここまでの勝敗なんて関係ない。試合に出たら全力を出すだけだ。今日はそれができたと思う。

 ハミドゥ・ディアロ

“0-0 mentality”のおかげでやらなければいけないこと、目の前のことに集中できたと思う。試合では“0-0 mentality”を発揮できた、負け試合を引きずりたくないもんね。 マイアミとの試合ではボロボロで得点も全然とれなかったけど、今日の試合には何も影響しなかったよ。

 ダリアス・ベイズリー

via Instagram @okcthunder

今シーズン、サンダーは20点差以上で負けた次の試合で4勝1敗。負けを引きずらない。

過去にとらわれないという考えもGリーグ時代から変わらないもの。

チームで20回くらいターンオーバーをした試合があってマークはそれを動画でまとめた。本当にひどいターンオーバーだったけど、彼は動画のBGMをBruce Springsteen の‘Born to Run’にして流したんだ。みんなで笑ったよ。

 ブライス・アルフォード

アルフォードは2017-19までオクラホマシティ・ブルーでダグノートのもとプレー

それがマークのうまいやり方の一つなんだ。動画を作って流すことでメッセージを伝えることは一見よくないことに感じるかもしれないけど、それでやる気をなくさせたりしない。

選手たちはそれを見たら“見ろよ、下手くそでひどいターンオーバーだ、オレたちはここを改善しないと”ってなるんだ。落ち込んだりしなくていい、ただそこから学んだらいいんだから。

 ジョシュ・ヒュースティス

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コントロールできることに注力する

不確かな物事や環境の変化に対応する能力は人生でも役立つスキルで、確実に試合でも活きてくるスキルだ。だから我々が組織、チームとして大切にしていることは環境が変わるにつれコントールできないことが出てきても、地に足つけてコントールできることに取り組むことだ。

 マーク・ダグノート

試合でコントロールできないことは“シュートが決まるかどうか”、だからデイム・リラードに4連続3Pを決められて負けたPOR戦の後のダグノートのコメントは

(リラードについて)彼に対するディフェンスで最悪だったのはカバーを破られて3人目の選手がヘルプに出ざるを得なくなりそこからパスを散らされたことだ。それはコントロールができることで、我々がもっと取り組まないといけないことだ。

彼のシュートは“Bomb”で、もちろん彼はそれを決めることができるけど我々ではほとんどコントロールできないからね。ルーはよく守っていたと思う。

 マーク・ダグノート

というもの。

この考えは選手にも浸透している。

有頂天になる試合もあれば、誰にも顔をあわせたくなくなる試合もある。今はいつも完璧なことなんてないことは分かってる。自分にはまだまだ改善点があるけど、どの試合でもその3つ(フロアを走ること、リバウンド、ディフェンス)をしっかりやろうとしている。

シュートが入るかどうか、ゴール下でフィニッシュしきれるかどうかは自分ではコントロールできないからね。苦しむ試合もあるけど、どんな試合でもできることをやることが助けになると思う。経験を積んでいけば、他のプレーもどんどん良くなっていくと思うんだ。

 ダリアス・ベイズリー

この「コントロールできることに注力する」というのが

  1. 結果よりも過程
  2. What else Mentality
  3. 0-0

3つの教えの根幹なのだと思う、「結果」「シュートが入るかどうか」「過去」というのはコントロールできないものだから。

またこの考えはダグノートのフロリダ大学時代の師匠でもあり、サンダーの前監督であるビリー・ドノヴァンが強調していた教えでもある。

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選手との絆

いくらすばらしい教えを説いていても選手たちが聞かなければ意味がない。ダグノートは選手たちと信頼関係を築くことでチームに自らの教えを浸透させてきた。

一つの目標に向かってみんなをリードすることがコーチにとってどれだけ大切なことかが認知されていないときがあると思う。個人的にマークが一番すごいと思うのは戦術の知識だけでなく、選手がコートで感じたことを聞く能力なんだ。自分はタイマーが止まったときやタイムアウトのときにコーチに自分の意見をよく言うけど、彼はそれをリスペクトしてくれる。コーチがサイドラインから見るのと選手がコートで見るのことが違うを分かってるんだ。彼は選手の意見を考慮して、信じることで選手たちが正しいプレーをするよう助けてくれる。

 ブライス・アルフォード

ほとんどのコーチは自分のコーチングスタイルに固執していて誰に対してもその方法でコーチする。マークがすばらしいのはどうやったら選手全員をやる気にすることができるか、選手一人ひとりの考えやどう指導されるのが好きなのかを理解していることなんだ。

彼は選手一人ひとりに違うコーチングスタイルで接する。そうすることで選手との繋がり、信頼やリスペクトが生まれて、選手が成長していく。選手はコーチの教えを聞こうとするし、そんな人のもとでプレーできてめちゃくちゃ楽しむことができたよ。

 ジョシュ・ヒュースティス

選手のことを考えてくれて、しっかりコミュニケーションをとってくれる。コーチには何でも相談できるように感じてるよ、コーチもオレに何でも言ってくれたら嬉しいね。すばらしいコーチ、すばらしい人物で彼のもとでプレーするのが大好きだ。

 シェイ・ギルジャス・アレキザンダー

マークは本当にすばらしい人物なんだ。ポジティブで、落ち込んでるときや、辛いときはいつでも励ましてくれる。いつでも味方でいてくれるんだ。

 ハミドゥ・ディアロ

選手の意見を尊重するのは恩師ドノヴァンも同じ、そんなドノヴァンもダグノートの関係構築には舌を巻く。

マークは人間関係の構築が本当にうまい。彼は選手たちともいい関係が築けるだろうし、選手たちの成長の助けになれると思う。選手たちの人物的な側面が見えていない人もいて、そんな人は(選手が試合をしている2時間以外の)22時間を知ろうともしない。フロリダ大学で一緒のときもブルーのHCをしていたときも、いつでも彼は関係構築をしっかりしていた。

 ビリー・ドノヴァン

via thunder.com

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まとめ

今シーズン、主力大放出で苦しいシーズンが予想されていたサンダーだがここまで14勝20敗と善戦している。強豪相手にも最後までくらいつく姿は負けていても見ていて楽しい。

選手の試合後のコメントやベンチでの姿を見ていると、全員が同じ方向を見て闘っているのが伝わってくる。

そんな雰囲気をつくってくれたのは間違いなくダグノートだと思う。コーチのすばらしい教えとそれを一生懸命実行していく選手たち、今シーズンは勝てないかもしれないけど残りの試合も楽しいことは間違いなし。

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リンク

恩師ビリー・ドノヴァンの教え①

恩師ビリー・ドノヴァンの教え②

ダグノートがGリーグのHCに就任した際のインタビュー

参考サイト

!https://www.nba.com/thunder/story/a-thoughtful-approach-210130

!https://theathletic.com/2198702/2020/11/15/thunder-coach-mark-daigneault?source=user-shared-article

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